第5話 退職後の税金を少なくする方法を考える - 2015年版 住民税 (前編)

会社員たるもの、最終的には会社を辞めなくてはなりません。

定年退職か寿退社か起業かリストラか、、、理由はさておき。

退職して起業あるいはフリーランスなった際の意外なコストとして、税金がかかる、といった話を聞きます。 はて、どういうことかといいますと、税金とはその年の所得に対して課税されるとばかり思っていたら 前年の所得に対して課税されるタイプの税金があるんですね。

主に住民税と事業税です。(知らなかった。。。)

今回はまず、住民税について調べてみたいと思いますので自己責任で参考にしていただければと思います。

住民税には法人住民税と個人住民税の2種類あるのですが、退職時に関するものとして個人住民税にしぼって考えてみます。

住民税の概要をざっくりまとめてみますと

  • 税の種類:地方税. そのため各地方自治体に納める
    • 例えば東京都ですと東京都主税局が問い合わせ先
  • 課税対象期間:前年の1月1日から12月31日
  • 支払先:その年の1月1日に住んでいる自治体
  • 均等割と所得割の合計値を支払う
    • 均等割:所得金額の大小に関係なく一律で支払う税金 (自治体によって異なる. およそ 5000円程度)
    • 所得割:所得金額の大小に比例する税金 (自治体によって異なる. およそ 課税される所得の 10% 程度)
      • 所得割の納税額は (前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額

東京都主税局<都税Q&A><区市町村税:個人住民税>

とのことです。 なるほど、住民税が少しわかった気がします。

均等割はみんな同じくらい支払うこと
所得割の金額は前年の所得が多いほど多くなってしまうということ

ですね。

つまり、住民税を抑えるためには、所得割を抑える、ということになります。

所得割 は "(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額 "

の計算で算出されるので、住民税を抑えるためには次の3つが大事になります。

  • 所得を少なくする
  • 所得控除額を多くする
  • 税額控除額を多くする

所得を少なくするとか給与をさげるってこと?馬鹿じゃないの?と思われるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。

ここに出てくる所得と言うのは給与だけではないのです

1つずつ見て行きましょう。

所得を少なくする

ではどうやって所得を少なくするのか所得はどのように算出されるのか見てみたいと思います。

  • 総所得金額
    • 総合課税区分
      • 純損失・雑損失の繰越控除後の事業所得
      • 不動産所得
      • 利子所得
      • 配当所得
      • 給与所得
      • 雑所得
      • 一時所得
      • 総合譲渡所得
    • 分離課税区分
      • 山林所得
      • 退職所得
      • 土地・建物等の譲渡所得
      • 株式等の譲渡所得等
      • 先物取引等に係る雑所得等
      • 上場株式等の配当所得

はい、たくさんあります。

分離課税区分 はいったんおいておいて、大事なのは 事業所得も所得に合算されている点です。

そして事業所得は給与所得と同じく総合課税に区分されています。

総合課税に区分される所得はその合計で課税対象に成るような税になりますので、赤字だったらマイナスで計上できるはずですね。

どういうことかというと、前年に事業化してしまって、起業に必要な経費を極力前年のうちに使ってしまい、前年の事業所得を赤字化することで所得全体額が抑えられるのではと考えられます。

売上が計算立っていないのであれば、1月から起業するのは避けたほうが良いのかもしれません。

他にもいろいろ課税対象の所得がありますね。 各所得できっちり黒字化できているのであれば、それはそれでええ話なのですが 万が一赤字になっても、無理に黒字に見せずに、税金を抑えるために素直に赤字だよと言ってしまいましょう。

所得控除額を多くする

次に、所得控除額を多くする方法を考えてみます。

所得控除は次のものがありますので、こちらを忘れず申告するようにしましょう。

種類 控除を受けられる場合
社会保険料控除 国民健康保険料(税)や国民年金保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料など
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済法の共済契約に係る掛金、確定拠出年金法の個人型年金加入者掛金、心身障害者扶養共済制度に係る掛金
生命保険料控除 生命保険料や個人年金保険
地震保険料控除 地震保険料や(旧)長期損害保険料
寡婦寡夫控除 あなたが寡婦又は寡夫である
勤労学生控除 あなたが勤労学生である
障害者控除 あなたや控除対象配偶者、扶養親族が障害者である
配偶者控除 控除対象配偶者がいる
配偶者特別控除 あなたの合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円を超え、76万円未満である
扶養控除 控除対象扶養親族がいる
基礎控除 38万円の控除
雑損控除 災害や盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた
医療費控除 一定額以上の医療費の支払がある
寄附金控除 国、地方公共団体などに支出した寄附金や特定の政治献金、震災関連寄附金などがある

所得から差し引かれる金額(所得控除)|確定申告に関する手引き等|国税庁

あんまり言うことないです。

  • 共済・保険に入っておく
  • 扶養家族を増やしておく
  • 控除は忘れずに申告

くらいでしょうか。

税額控除額を多くする

そもそも税額控除額とはなんだったでしょう。

税額控除額とは、【課税対象所得 × 税率】後の金額から引かれる金額のことをいいます。

税額控除の対象は次の通りです。

大事なのはふるさと納税です。

ふるさと納税による納税額 - 2000円を直接翌年の住民税から引かれます。場合によっては、その地方の特産品も手に入れることもできます。

さらに、2015年はふるさと納税による控除額が2014年の約2倍になりました。

例えば、扶養家族が配偶者のみの給与所得者の方の場合 だと次のようになります。

年収 2014年上限 2015年上限
500万円 30,000円 59,000円
700万円 55,000円 108,000円

www.soumu.go.jp

上限ギリギリまで、お米と等価交換できるふるさと納税を利用すると、なかなかの節税に成るのではないでしょうか。

まとめ

長くなりましたので、整理も込めてまとめましょう。

住民税を少なくするためのポイントは次のとおりです。

  • 所得を少なくする
    • (売上の算段のない場合) 1月の起業は避ける.
    • 事業を前年に開始し、事業に必要な経費を前年のうちに計上する。
  • 所得控除額を多くする
    • 保険・共済に入る
    • 控除対象をきっちり申告する
    • 扶養家族を増やす
  • 税額控除額を多くする

とはいえ、やはり複雑だし実感わかないですね。。。

次回はどれくらい住民税がかかるのかシュミレーションしてみたいと思います。